キングダムでは、嬴政が中華を統一する目標の為、様々な方法がないか考えを巡らせています。広大な中華のすべての人々をひとつにまとめ、同じ方向をみてもらう為の手段を、模索しています。その中で生まれた、究極の難問の回答を探し出します。
究極の難問とは、人間の本質とはなにか?!です。これの回答がでれば、中華を平定する手段が見いだせるのではないでしょうか。
今回は、キングダムにおいての人の本質は何か、それぞれの登場人物達が、難問の回答と信じるものを検証し、考察していきたいと思います。
本質という言葉の意味は?
まずは、“本質”という言葉の意味を考えていきます。
現代の辞書には、
- 物事の根本的な性質・要素。そのもの、本来の姿。
- 存在するものの基底で本性となすもの。 というように記されています。
現代では、少しばかり抽象的な概念となっており、文脈に応じて多様な意味をもっていると、捉えられます。また、③ 欠く事ができない重要な、という意味でもあるようです。
では、キングダムにおいての“本質”という言葉の使い方としては、どうでしょうか。
基本的には、現在と同じように根本的な性質等というように使用されています。ですので、人の根本的な性質、などというような使い方でしょうね。
嬴政が出した人の本質の回答について
嬴政は、加冠の儀の後、長年敵対していた呂不韋との舌鋒の際、人の本質の答えを提示しています。それは、ずばり“光”と言い放ちます。
嬴政がこう思うのには、理由があります。
幼少期の頃、趙国から脱出する際に、手助けをし、自らの命を盾に死んでいった紫夏の中に、人の優しさと強さと強烈な“光”をみたと言っています。
形や立場が違えど、みんな一様に自分の中にある“光”を一生懸命輝かせて死んでいき、その“光”を次の者が引き継ぎ、さらに強く光り輝かせるのだと…。
これを聞いていた者達は、とても感動しているのと同時に、嬴政の難問の回答に唖然としている様子が、描かれています。この場面は、読んでいる方も感動し、涙が出てくるくらいの名場面だと思います。
それまで、呂不韋陣営だった蔡択や李斯も、嬴政の言葉に驚愕している表情が描かれています。この時に、この二人も嬴政がただの秦王ではないと悟ったのではないかと思わせるくらいのインパクトがあったと思います。
嬴政は、人に対しての期待をなくしておらず、むしろどんな悪人にも“光”があると信じています。
呂不韋が持っていた中華統一の為に、必要なものとは?
前述の、嬴政の回答に真っ向と、違う答えを出した呂不韋が、持っていた考えとは何でしょう。呂不韋がこの世に必要なのは、貨幣制度だと断言します。
商人であった呂不韋は、お金を正しく流通させる事により、人の欲望をコントロールさせ、平和な国ができあがると言っていました。
中華統一を成したあと、貨幣制度を制定し、七国の人々を商いで入り乱れさせる事で人の欲望を満たせ、争いがなくなり、中華全体で豊かになるという考えを提示しました。
確かに、人にはお金が必要ですね。それは、現代においても間違いありません。
ただ、文官の域をでない考えだと嬴政は評価しています。
信が出した人の本質の回答について
信は、最新刊の第70巻で韓非子に人の本質は何かと聞かれる場面が描かれています。そこで、はっきり断言とまでは言いませんが、おそらく“火”ではないかと答えるのです。
人は、みんな中心に“火”を持っていて、その火を大きくしたり、時には小さくなったりを繰り返し、一生懸命生きているのだと答えるのです。
戦で戦って死んでいった仲間や、敵国の将達の中には“火”があり、生きている者は死んでいった者の“火”を受け取り、それを自らの中心で“大炎”として、その思いを引き継いでいくのだというのです。
この答えというのは、嬴政の人の本質は“光”だという回答と類似していますよね。言葉が違うだけで、難問の回答としての本質の正体は、同じ事を言っていると思います。これは、中華統一を目標としている二人が以心伝心するほどの仲である事を、証明していると感じる事ができます。
韓非子の思う人の本質について
韓非子は、最新刊の第70巻で、韓から秦に招待されて来られる思想家です。
韓非子は、人は性悪説であると持論を持っています。すると、人の本質を善寄りだと捉えている嬴政は、その対比である性善説をもっている事になります。
韓非子は、長年、人の本質について考えているようですが、未だこの難問の回答が見いだせていないようです。この回答がわからぬまま、この第70巻で死亡してしまいます。実は、信に人の本質を聞く場面はありますが、自らが信じる現段階での回答を言う事はなかったです。キングダムファンとしては、韓非子の難問の最終回答も聞いてみたかったところです。
キングダム:人間の本質とは何か…?中華統一の為、出さなければいけない難問の答えは?!まとめ
これまで、登場人物が信じる人の“本質”について考えてきましたが、どれもこれも納得のいくものでした。これからも違う回答を持っている人物が現れ、新しい考えを教えてくれるでしょう。これの答えを見いだす事ができれば、中華の統一が夢ではなく現実に近づいて行くことでしょう。