日本は世界中のオタク文化の発信地。そして、その中心にあるのが、やはり漫画という存在です。また、時代は紙からデジタルへと移り変わりましたが、それでも漫画は、今なお多くの人々を魅了し続けています。
一方で、デジタルの時代に突入したことで、漫画の形に変化が訪れています。その要因となっているのが、暗号資産とNFTです。これらは今日、円や株式に変わる投資対象としての人気が高く、機関投資家も目と付けるほど。最近でも「ビットコインが12万ドル台を突破した」というニュースがあらゆる媒体で流れたことから、世界中の投資家たちはICOBench日本語サイトにて、ビットコインの上昇気流になることが予測される銘柄を調査。次世代の取引ボットや、仮想通貨ウォレットプラットフォームなどを提供するプロジェクトの上場に、多くが期待している最中です。
このように投資対象としての高い価値を持つ暗号資産とNFTですが、実は漫画にも影響を与えているのです。本記事では、それらデジタル資産がどのように漫画の世界に入り込み、何を変革しているのかを解説していきます。
デジタル時代の所有体験
日本国内では、今や6,703億円もの市場規模があるとされている電子書籍。この普及により、1つのタブレットに漫画を複数ダウンロードして持ち歩いたり、手軽に読んだりできるようになりました。しかし一方で、自分がその作品を持っている、という感覚が薄れてしまったと感じる読者も少なくないでしょう。
そんな中で登場したのがNFTです。NFTは「このデジタルデータは世界にひとつだけのものです」と証明できる仕組み。 たとえば、漫画の特別な1話や、作者のサインが入ったデジタル表紙などをNFTとして販売すれば、それを手に入れた人は「これは自分だけの特別な作品だ」と感じることができるのです。
作家とファンを直接つなぐ収益モデル
こうしたNFTの技術は、漫画家自身の収益モデルにも大きな変化をもたらしています。
従来、漫画家が作品から収入を得るためは、出版社を通じた単行本の販売や、雑誌連載の原稿料を受け取る方法が一般的でした。つまり、漫画家と出版社の間にはさまざまな仲介業者が必要であり、ファンがお金を払っても、作家に届く金額はその一部にとどまっていたのが現実です。
しかし、NFTを使うことで、その構造が大きく変わります。 作家自身が作品をデジタル化して、そのままファンに届けることができるのです。 その理由として、NFTには「誰がその作品を持っているか」がブロックチェーン上に記録される仕組みがあるため、仲介者を挟まなくても、きちんと信頼された取引が成立。 さらに、代金は暗号資産のかたちで作家の電子ウォレットに直接届くため、安価な手数料で済むのです。
加えて、NFTの魅力は一度売って終わりではない点にもあります。たとえば、あるファンが購入した作品を後に別のファンへ転売した場合でも、あらかじめロイヤリティを設定しておけば、その売上の数%が作家に自動的に支払われるのです。
なお、実際に2022年には、集英社が人気漫画「ONE PEACE」の活版印刷作品をNFT化。併せてブロックチェーン証明書を発行することで、アートとしての価値が次世代に継承される仕組みを実現しました。
ブロックチェーン販売で海外展開
日本の漫画は世界中で愛されていますが、実際に海外ファンに届けるには、翻訳や流通、決済など多くの障壁があります。特に、出版社と介さずに個人で活動する作家にとっては、グローバル展開は現実的ではありませんでした。
しかし、暗号資産とNFTの活用によって、作品をブロックチェーンに紐づけることが可能に。こうすることで、作品を世界中どこからでも閲覧し、購入できるようになり、暗号資産を使えば通貨の違いを気にせず支払いが可能になるのです。為替の影響を受けにくい点も、海外展開を後押しする要素のひとつと言えるでしょう。
NFT保有による参加型ファン体験
NFTを持つことの魅力は、単に自分だけのコンテンツを所有している、という満足感だけではありません。NFTを購入することで、保有者人だけが参加できるイベントや、限定公開のコンテンツを楽しめるなど、ファン体験がより深くなっていくのです。
さらに、NFTを持っていることで作者と直接やりとりができたり、物語の方向性に関するアンケートに参加できたりといった可能性も。これにより、作品を「一緒に作っている」感覚を得ることもできるのです。
たとえば、2024年にNFT販売所「Zaif INO」を運営するカイカフィナンシャルホールディングス社が立ち上げた「NFT漫画プロジェクト」では、NFT購入者がキャラクターとして作品に登場するといった、特別な体験を提供することを報告しています。
このような仕組みは、従来のように漫画作品を読むだけの立場だったファンに、新しい関わり方を提供していると言えるでしょう。NFTによって、これまでは遠く感じられた作者との距離が、ぐっと近づいたのです。
まとめ
これまで暗号資産やNFTといえば、どこか投資やマネーの話という印象が強かったかもしれません。けれども最近では、そうした技術が漫画の世界にも少しずつ入り込み、作品の楽しみ方そのものを変えつつあります。
本記事で紹介してきたように、NFTを使うことで漫画を所有する喜びが生まれ、さらに作家を直接応援する仕組みが整い、イベントなどを通じてファンと作家がつながる体験も実現。
こうした新しいテクノロジーの登場によって、漫画の楽しみ方もまた、次のステージへと進みつつあると言えるでしょう。