秦の列国侵攻を懸念した、趙国の宰相、李牧は他の列国である六国を誘い、合従軍を起こします。
秦の正面玄関、函谷関を楚・趙・燕・韓・魏で正面から攻めるように見せかけていました。
ところが、それとは別の動隊で蕞を攻めてきたわけです。
信と嬴政は、これを迎え撃つべく秦の王都、咸陽の手前にある最後の砦“蕞(さい)”での決戦をします。果たして合従軍を止める事は、可能なのでしょうか。また、蕞での戦いには、勝機があるのでしょうか。
この戦いは、実際に史実にもあった戦いで、史実上は龐 煖(ほう けん) 率いるの趙の将軍が攻めた、が、成さず。
となっています。
キングダム30巻 から31巻の周辺のお話です。こういった、長いつながりのあるエピソードは、まとめて読みたいですね。
それでは、どういった戦略で、合従軍を食い止めるのかを、解説していきたいと思います。
キングダム:蕞はどういう城なのか?
蕞は、秦の王都、咸陽を控える最後の城です。この城の特徴は、城門が堅固であるも、城壁が高くないというところで、良い点と悪い点があります。極一般的な城と、呼べるでしょう。この特徴を確認した飛信隊の軍師、河了貂は、戦略を練ります。また、問題なのが、軍とよべるほどの者がいなかった事でした。蕞の正規軍は、函谷関での戦いに参戦しており、城内には女性・子供・老人しか残っていなかったのです。これは、敗因になりかねないですね。
キングダム:蕞の住民を民兵にする事は可能なのか?
秦国の軍は、様々な戦地へと出払っており、援軍を頼りにすることは出来なくなっていました。その為、蕞にいる者達だけでなんとか迎え撃たなければなりません。
そこで嬴政があてにしてきたのは、蕞の住民です。嬴政は、自分の存在で蕞の住民を、兵士にしようと考えていたのです。いくら秦王とはいえ、そんな簡単にできる事なのでしょうか。
現代では、国のトップとなる人物の為に、戦う、なんて事はないと思います…そういった国民が多いのではないでしょうか。
ですが、この時代では、王様の顔も名前も知らないし、本当に存在するかどうかもわからない人物です。にも関わらず、住民達は、秦王である嬴政が姿を現しただけで拝み感謝し、一言檄をとばしただけで涙を流しています。そして、住民達は自らすすんで秦王の為、国の為に、戦おうと奮い立つ事ができるのです。
これを、愛国心とでもいうのでしょうか。
国の為に、自分の命を差し出す事なんて、現代の日本人にはありえるのでしょうか。そういった愛国心というものは、ほど遠いように感じられます。
キングダム:蕞で戦う両陣営の顔ぶれは?
秦の陣営には、信率いる飛信隊をはじめ、元将軍の晶文君、その部下の壁、ここに大切な役回りとして秦王、嬴政も布陣しています。それに忘れてはいけないのは、蕞の民兵です。このメンバーで戦い抜かなければいけません。
合従軍陣営には、合従軍の発起人、李牧率いる趙国・楚国・魏国・燕国の将軍達が集まっていました。各国々の名高い将軍達ばかりで登場人物が、盛りだくさんです。
キングダム:秦国に、勝機はあるのか?
攻城戦に勝利する為の戦略は、どうなっているのでしょう。
蕞は、四方を城壁で囲まれています。軍師、河了貂は、四方に将軍をおいて湧いて出てくる敵をそぎ落としていきたいと考えていますが…。指揮官が足りません。そこに登場したのが、呂不韋陣営にいる晶平君の側近、介億でした。軍師学校で、河了貂の先生をしているだけあって軍略に明るく、また自らも戦場に立つことのできる武将で頼りになります。
準備も整ったところで、戦が始まります。蕞の民兵は死力を尽くし、一人一人限界を超えて戦っていきます。そんな中、晶文君がとにかく“八日間”持ちこたえれば勝機があると発言します。これの意味とはいったいなんでしょう。
勝敗は?
信は、晶文君の根拠のない“八日間”を目標に一日一日を持ちこたえます。
開戦“七日目”、心待ちにしていた援軍がきます。それは、陽端和が率いる山の民の軍です。
これによって心身共にギリギリの秦軍は、かろうじて持ちこたえる事ができたのです。また山の民の軍は、とても強く、そのまま李牧率いる合従軍を、追い返す事に成功したのです。
勝因としては、嬴政と晶文君が情報漏れを防ぐ為、陽端和の山の民の軍に援軍を要請した事を隠していた事です。それにより、敵国の軍師、李牧をあざむき、奇襲をかけ、虚を突く事に成功したのです。
まとめ
結果的に、陽端和率いる山の民に秦は助けられましたが、ここで忘れてはいけないのが、住民である蕞の民兵の大活躍も勝因になったという事です。
現代でも、世界に戦争はあります。民間人が犠牲になる事はたくさんあって…。それが、戦争というものであると…。
キングダムの世界では、戦を楽しんでいる将軍が描かれています。
もし現実の世界で、戦が起きるのを楽しみに待っていたり、始まった戦を楽しんだりしている人間がいたとしたら…人間とは…
今回は、史実上の住民参加型の戦をモデルとして描かれている蕞での戦を解説してきました。嬴政が、秦王になってから初めて戦に参加する、貴重なストーリーでしたし、嬴政が秦王の器に値する程の人物に成長した、という姿を見ることができました。
秦王、嬴政の檄には、読んでいる方も胸にくるものがありました。
今後、嬴政が戦に参戦するストーリーが描かれる事があるのか、期待したいです。